「近江の家具」多賀べんがらシリーズ発表にあたり

 近江琵琶湖の東に位置する我まち多賀は、森林面積が町土の86%を占める緑ゆたかな町です。その、森林面積の60%は戦後造林された人工林であり、その恵まれた森林資源を循環利用し、地域産業の活性化につなげようと、2012年に発足した「多賀町森林資源循環システム構築に関するワーキンググループ」のメンバーの一員として活動に参加しています。弊社は家造りと共にオリジナル家具の製作も行っており、ワーキンググループの活動を通して、多賀産の杉・桧を使って家具を製作出来ないか模索していました。

 そんな折、2015年に開催された「LIVING & DESIGN 2015」にて、イタリアを始め、国際的に制作活動されているプロダクトデザイナー喜多俊之氏と出会い、意気投合した私達は多賀産の杉・桧を使った商品開発を共同で進めることとなりました。

 喜多俊之氏の提案は、三十年以上も前から気になっていた「近江の家具」を作るという創意の実現でした。それは、伝統の古い形をそのまま再現するのではなく、現在のライフスタイルやインテリアスタイルを融合させた、国際的にも通じる、機能的にも新たな命を吹き込まれたものでした。

 「近江の家具」を製作するにあたっては、伝統工芸を現代まで継承されておられる、八十八歳で現役の指物師である北村義信氏より、若手の指物師に伝統技法を伝授していただきました。

 仕上げ塗料である「べんがら」は、近江の建築や家具に使用されてきました。大地の恵みの色である朱は、古くからの近江の暮らしを彩る伝統の塗料として親しみが深く、それを家具の仕上げの一つに選びました。

 「LIVING & DESIGN 2016」では、「近江の家具」多賀べんがらシリーズとして、二畳結界べんがら、多賀三人掛けベンチを出展しています。「多賀べんがらシリーズ」は、この他に様々な用途・シーンに合わせたアイテムを発表する予定です。

 そうして喜多俊之氏監修の元に始まった大工工務店による家具作りが、森林資源循環に少しでも寄与し、近江の指物師による伝統工法の継承、地域産業の復活に一翼を担えればと考えております。

2016年10月

株式会社ひらつか建築.  代表取締役 平塚 一弘

「近江の家具」多賀べんがらシリーズ 水屋箪笥

「近江の家具」多賀べんがらシリーズ TVボード

「近江の家具」多賀べんがらシリーズ 二畳結界べんがら

「近江の家具」多賀ベンチ